
この記事では、Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)に寄せられる口コミとの向き合い方を、返信の基本から悪い口コミへの対応まで実務的に解説します。あわせて、Googleのポリシーで禁止されている依頼の仕方や、医療広告ガイドラインとの関係で口コミをHPに転載する際の注意点も整理します。
クリニックにとって口コミが大切な理由
医院を探す患者さんの多くは、「地域名+診療科目」で検索し、地図上に表示された医院の情報を見比べます。その際、診療時間や場所と並んで目に入るのが口コミです。初めて受診する医院の雰囲気や待ち時間、説明のわかりやすさなど、HPだけでは伝わりにくい情報を口コミから読み取ろうとする方は少なくありません。
一方で、口コミは医院がコントロールできない情報でもあります。良い評価だけを集めようとしたり、悪い評価を消そうとしたりすると、かえってポリシー違反や信頼の低下につながりかねません。口コミ対策の基本は、「評価を操作すること」ではなく、寄せられた声に誠実に向き合い、医院の姿勢を見せることだと考えるのが現実的です。
口コミへの返信の基本
Googleビジネスプロフィールでは、オーナーが口コミに返信できます。返信は投稿者だけでなく、これから医院を探す患者さんも読んでいます。次のポイントを押さえておきましょう。
- 良い口コミにも返信する:感謝を伝える短い返信でも、医院が口コミを読んでいる姿勢が伝わります
- 定型文の使い回しを避ける:同じ文面が並ぶと機械的な印象になります。口コミの内容に一言触れるだけでも印象が変わります
- 患者さんの個人情報や診療内容に触れない:口コミの投稿者が受診したかどうか、どのような治療を受けたかを返信で明かすことは、医療従事者の守秘義務や個人情報保護の観点から避けるべきです
- 宣伝を書きすぎない:返信欄で新しい診療メニューやキャンペーンを強く訴求するのは控えめにします
特に医療機関では、守秘義務への配慮が重要です。「〇月〇日に〇〇の治療でご来院いただいた件ですが」のように、受診の事実や診療内容を特定できる書き方は避け、「ご指摘いただいた点について、院内で共有し改善に努めます」といった一般的な表現にとどめるのが安全です。
悪い口コミへの対応
厳しい内容の口コミを見ると、すぐに反論したくなるものです。しかし感情的な返信は、投稿者だけでなく第三者にも悪い印象を与えます。次の手順で落ち着いて対応しましょう。

- 内容を事実確認する:受付対応、待ち時間、説明の仕方など、指摘された点に心当たりがあるかを確認します
- 院内で原因を共有する:個人の責任追及ではなく、仕組みとして改善できる点がないかを話し合います
- 冷静に返信を書く:不快な思いをさせたことへのお詫び、受け止めた内容、改善の方針を簡潔に書きます。事実と異なる点があっても、患者情報に触れずに丁寧に伝える程度にとどめます
- 改善を実行する:返信で約束したことは実際に取り組みます。改善が進めば、その後の口コミにも表れてくることがあります
- ポリシー違反の口コミは報告する:誹謗中傷、無関係な内容、なりすましなど、Googleのポリシーに反すると考えられる口コミは、管理画面から報告できます
注意したいのは、「内容が厳しい」「評価が低い」というだけでは削除の対象にならないことです。Googleが削除するのは、ポリシーに違反すると判断した口コミに限られます。また、報告しても削除されるとは限りません。名誉毀損にあたるなど深刻なケースでは、弁護士などの専門家に相談することも検討してください。
やってはいけない口コミの集め方
口コミを増やしたいと考えたとき、つい取りがちな方法の中には、Googleのポリシーで禁止されているものがあります。Googleは、口コミの投稿に対して金銭や割引などの対価を提供することや、肯定的な口コミだけを選んで依頼すること、否定的な口コミを妨げることなどを禁止しています。

| 禁止されている行為の例 | なぜ問題か |
|---|---|
| 口コミと引き換えに割引・粗品・ポイントを提供する | 対価の提供にあたり、ポリシーで禁止されている |
| 満足度の高そうな患者さんだけに投稿をお願いする | 肯定的な口コミの選別的な依頼にあたる |
| 院長・スタッフ・家族が自院の口コミを投稿する | 利害関係者による投稿にあたる |
| 業者に依頼して口コミを書いてもらう | 偽のエンゲージメントにあたる |
ポリシー違反と判断されると、口コミの削除のほか、ビジネスプロフィールに制限がかかる可能性もあります。また、2023年10月からは景品表示法でいわゆるステルスマーケティングが規制対象になっており、事業者が関与した表示であることを隠した口コミの扱いには一層の注意が必要です。
口コミをお願いすること自体が禁止されているわけではありません。会計時に案内カードを渡す、待合室に掲示するなど、すべての患者さんに同じように、対価なしで、自由に書いてもらう形であれば、一般的には問題になりにくいと考えられます。ポリシーは更新されることがあるため、最新の内容はGoogleの公式ヘルプで確認してください。
口コミや体験談をHPに転載する際の注意
Googleマップに良い口コミが集まると、「HPにも載せたい」と考えるかもしれません。しかし、ここで注意が必要なのが医療広告ガイドラインです。2018年6月施行の改正医療法により、医療機関のWebサイトも広告規制の対象になりました。そして、患者の主観に基づく治療等の内容や効果に関する体験談は、広告として掲載が禁止されている事項の一つです。
そのため、Googleマップの口コミや患者アンケートの声を抜粋して自院のHPやLP、SNS広告に掲載することは、体験談の掲載にあたる可能性が高く、避けるべきです。「とても丁寧に治療してもらい、痛みがなくなりました」といった内容は典型的な例です。
一方、第三者の口コミサイトやGoogleマップに患者さんが自発的に投稿した口コミそのものは、医院が投稿を誘引していない限り、一般的には医院の広告とはみなされないと整理されています。ただし、医院が依頼の仕方に関与していたり、表示方法によっては判断が分かれたりする可能性もあります。HPへの口コミの埋め込み表示なども含め、判断に迷う場合は、医療広告に詳しい専門家や管轄の自治体(保健所など)に確認してください。
よくある質問
悪い口コミは削除してもらえますか?
評価が低い、内容が厳しいというだけでは削除の対象になりません。誹謗中傷や無関係な内容など、Googleのポリシーに違反すると考えられる場合は管理画面から報告できますが、削除されるかどうかはGoogleの判断になります。
口コミをお願いするのは問題ありませんか?
依頼すること自体は禁止されていません。ただし、対価を提供したり、満足していそうな患者さんだけを選んで依頼したりすることはポリシー違反になります。すべての患者さんに同じ形で、自由な投稿をお願いするのが基本です。
口コミへの返信は院長がすべきですか?
必ずしも院長である必要はありませんが、返信の方針や表現のルールは院内で統一しておくと安心です。特に守秘義務に関わる内容には触れないことを、担当者全員で共有しておきましょう。
まとめ
口コミ対策の基本は、評価を操作することではなく、寄せられた声に誠実に返信し、改善につなげることです。返信では患者さんの個人情報や診療内容に触れず、悪い口コミにも冷静に対応します。口コミと引き換えに対価を提供する、満足した人だけに依頼するといった行為はGoogleのポリシーで禁止されており、口コミや体験談を自院のHPに転載することは医療広告ガイドラインの観点から避けるべきです。
口コミと並んで、HPそのものの情報を充実させることも、患者さんに医院を知ってもらう大切な手段です。Grantaireでは、ガイドラインに配慮したクリニック向けの記事制作やHP運用のサポートを行っていますので、情報発信の見直しを考える際の参考にしてください。


