
この記事では、クリニックのホームページに入れておきたい構造化データの種類と、それぞれの役割をわかりやすく解説します。あわせて、FAQのリッチリザルトの表示条件など誤解されやすい点や、SEO・AI検索(AIO)との関係もGoogleの公開情報の範囲で整理します。
構造化データとは何か
構造化データとは、ページに書かれている情報が「何を意味しているか」を検索エンジンに伝えるための記述です。たとえば「03-xxxx-xxxx」という文字列が電話番号であること、「9:00〜18:00」が診療時間であることは、人が見ればわかりますが、プログラムにとっては単なる文字の並びです。構造化データを使うと、これらを「医療機関の電話番号」「営業時間」として明示できます。
記述のルールには、Google・Microsoftなどが共同で立ち上げた語彙である schema.org が広く使われています。書き方にはいくつかの形式がありますが、Googleは JSON-LD 形式を推奨しており、HTMLの本文とは別にscriptとしてまとめて記述できるため、既存のデザインを崩さずに追加しやすいのが特徴です。
なお、構造化データは「入れれば順位が上がる」ものではありません。Googleは、構造化データが検索結果の特別な表示(リッチリザルト)の対象になるための条件の一つであることや、ページ内容の理解に役立つことを説明していますが、掲載順位を保証するものではないとしています。この前提を押さえたうえで、正しい情報を正しく伝える手段として活用するのが基本です。
クリニックHPで使われる主な型
schema.orgには数百の型があります。クリニックのHPで検討されることが多いのは次のような型です。

医療機関を表す型(MedicalClinic・LocalBusinessなど)
医院そのものの情報を伝える中心になるのが、医療機関を表す型です。schema.orgでは、LocalBusiness(地域の事業所)の下位に医療系の事業所を表すMedicalBusinessがあり、さらにその下にMedicalClinic(診療所)やDentist(歯科)などの型が用意されています。内科・皮膚科・小児科などのクリニックであればMedicalClinic、歯科医院であればDentistを選ぶのが一般的です。主に次のような情報を記述します。
- 医院名(name)、住所(address)、電話番号(telephone)
- 診療時間(openingHoursSpecification)
- 公式サイトのURL(url)、ロゴや外観の画像(image)
- 位置情報(geo)、診療科目(medicalSpecialty)など
Googleの検索セントラルには「ローカルビジネス」の構造化データに関するドキュメントがあり、対応するプロパティや必須・推奨項目が公開されています。ただし、地図検索やナレッジパネルに表示される営業時間などは、主にGoogleビジネスプロフィールの情報が使われると考えられます。HPの構造化データとビジネスプロフィールの情報を一致させておくことが大切です。
よくある質問を表す型(FAQPage)
FAQPageは、ページ内の「質問と回答」の組み合わせを伝える型です。以前は多くのサイトで、検索結果に質問がアコーディオン形式で表示されることがありました。しかし2023年8月にGoogleは表示方針を変更し、FAQのリッチリザルトは、よく知られた信頼性の高い政府機関や健康関連のサイトに限定して表示すると発表しています。
「健康関連」と書かれているため医療機関なら表示されると受け取られがちですが、対象かどうかはGoogleが判断するもので、クリニックのサイトであれば表示されるという意味ではありません。リッチリザルトを目的にするのではなく、ページの構造を正確に伝える目的で設定する、と考えておくのが無理のない位置づけです。
医師の情報を表す型(Physician・Person)
院長や在籍医師の経歴・資格を伝えたい場合に検討されるのが医師の情報を表す型です。schema.orgのPhysicianは、以前は医師の診療所(医療機関)を表す型として定義されていましたが、2024年の更新で「医師個人または診療所」を表す型に整理され、医師個人を表すIndividualPhysicianという下位の型も追加されました。医師個人のプロフィールには、IndividualPhysicianを使う方法のほか、Person型で氏名・役職(jobTitle)・出身大学(alumniOf)・所属(worksFor)などを記述する方法も使われます。なお、Googleの検索セントラルには医師個人向けのリッチリザルトは用意されていません。型の定義は更新されることがあるため、実装時にはschema.orgの最新の説明を確認してください。
SEO・AIO(AI検索)との関係
構造化データとSEO・AIOの関係は、誇張されて語られることが少なくありません。現時点で一般に公開されている情報から言えることを整理します。
| 観点 | 公開情報から言えること |
|---|---|
| 検索順位 | 構造化データ自体が順位を保証するものではない |
| リッチリザルト | 表示の条件の一つだが、設定しても表示されるとは限らない |
| ページの理解 | 内容を検索エンジンが理解する手がかりになる |
| AI Overviews | 特別な対策は不要で、通常のSEOの基本が当てはまるとされている |
GoogleはAI Overviewsなど検索のAI機能について、表示されるために特別な最適化は必要なく、通常のSEOのベストプラクティスが同様に当てはまるという趣旨の説明をしています。そのうえで、構造化データはページに表示されている内容と一致させることが求められています。つまり、構造化データは「AI検索のための裏技」ではなく、医院名・住所・診療時間・診療内容といった基本情報を一貫して正確に伝えるための土台と考えるのが適切です。
AI検索では、ユーザーの質問に対して複数の情報源をもとに回答がつくられます。HP本文、構造化データ、Googleビジネスプロフィール、各種ポータルサイトの情報が食い違っていると、誤った情報が伝わるおそれがあります。まずは情報の一貫性を整えることが、SEOとAIOの両方にとって意味のある取り組みです。
実装の手順と注意点
構造化データの実装は、次のような流れで進めます。

- HPに掲載している医院情報(名称・住所・電話・診療時間・診療科目・医師情報など)を整理する
- ページごとに使う型と記述するプロパティを決める(トップページは医療機関の型、医師紹介ページは医師の情報など)
- JSON-LD形式で記述し、該当ページに追加する
- Googleの「リッチリザルトテスト」や「Schema Markup Validator」で記述の誤りを確認する
- 公開後はSearch Consoleで、検出された構造化データやエラーの有無を確認する
注意したいのは次の点です。
- ページにない情報を書かない:Googleのガイドラインでは、ユーザーに見えない内容や事実と異なる内容を構造化データに記述することは認められていません
- 情報の更新漏れに注意:休診日や診療時間を変更したとき、本文だけ直して構造化データが古いまま、ということが起こりがちです
- 口コミや評価の自己記述は避ける:自院について自ら評価(星の数など)をマークアップしても、Googleは自己評価のレビューをリッチリザルトの対象外としています
- 医療広告ガイドラインとの整合:構造化データに書く内容も、HPに掲載する情報である以上、誇大な表現などは避けます
WordPressで制作されたHPであれば、プラグインやテーマの機能で基本的な構造化データが出力されている場合もあります。重複して出力されていないか、内容が正しいかを一度確認しておくと安心です。
よくある質問
構造化データを入れると検索順位は上がりますか?
構造化データ自体が検索順位を保証するものではありません。検索エンジンがページの内容を理解する手がかりになり、条件を満たせばリッチリザルトの対象になるという位置づけです。順位を左右するのは、ページの内容の充実度や信頼性など総合的な要素です。
FAQPageを設定すれば検索結果に質問が表示されますか?
2023年8月以降、FAQのリッチリザルトは、よく知られた信頼性の高い政府機関や健康関連のサイトに限定して表示されています。医療機関のサイトでも表示されるとは限らないため、表示を目的にするより、ページの構造を正しく伝える目的で設定するのがよいでしょう。
専門知識がなくても自分で設定できますか?
WordPressのプラグインなどを使えば、基本的な項目は比較的簡単に設定できます。ただし、型の選び方や記述内容の誤り、重複出力などは見落としやすいため、テストツールでの確認は必ず行い、不安があればHP制作会社などに相談することをおすすめします。
まとめ
構造化データは、医院名・住所・診療時間・診療内容・医師情報などを検索エンジンに正確に伝えるための仕組みです。クリニックでは医療機関を表す型(MedicalClinicやDentist)を中心に、必要に応じてFAQPageや医師の情報を表す型を組み合わせます。ただし、順位やリッチリザルトの表示を保証するものではなく、FAQのリッチリザルトは表示されるサイトが限られている点にも注意が必要です。
大切なのは、HP本文・構造化データ・Googleビジネスプロフィールの情報を一致させ、常に最新に保つことです。Grantaireのクリニックオートでは、HP構造の改善を優先度順に整理し、AI検索での表示状況のチェックもあわせて行っていますので、自院のHPの状態が気になる場合は参考にしてみてください。


