
クリニックの開業準備では、内装や医療機器、スタッフ採用と並行して、ホームページの準備も進める必要があります。この記事では、開業時のホームページ制作のスケジュール感、開業時点でそろえたいページ、開業前から準備しておくべきことを、医療広告ガイドラインの注意点とあわせて解説します。
開業時にホームページが重要な理由
新しく開業するクリニックは、地域の方にとってまだ「よく知らない医院」です。看板や内覧会のチラシで医院名を知った方も、来院前にスマートフォンで医院名を検索し、診療時間や場所、どのような医師が診ているのかを確認することが一般的です。そのときにホームページが見つからない、あるいは情報が不十分だと、受診先の候補から外れてしまう可能性があります。
また、開業直後は口コミや来院実績がまだ少ない時期です。だからこそ、院長の経歴や診療方針、設備、院内の様子をホームページできちんと伝えることが、初めて受診する患者さんの安心材料になります。検索エンジンに新しいサイトが認識されるまでには一定の時間がかかるため、開業日ぎりぎりではなく、余裕をもって公開しておくことが大切です。
さらに、開業前はスタッフの採用活動の時期とも重なります。応募を検討している方も医院のホームページを確認するため、診療方針や院内の雰囲気が伝わるページがあると、採用面でもプラスに働くことがあります。
開業までのホームページ制作スケジュール
制作期間は、ページ数や制作会社の体制、原稿や写真の準備状況によって大きく変わります。以下は、開業日から逆算した一般的な進め方の目安です。
| 時期の目安 | 主な作業 |
|---|---|
| 開業の6か月前ごろ | 制作会社の選定、ドメインの取得、サイトの目的と診療科目の整理 |
| 開業の4〜5か月前ごろ | サイト構成(ページ一覧)の決定、デザインの方向性の確認、原稿作成の開始 |
| 開業の2〜3か月前ごろ | 院内・医師の写真撮影、デザイン制作、各ページの原稿確定 |
| 開業の1〜2か月前ごろ | 仮公開(開院準備中のページや内覧会のお知らせ)、Googleビジネスプロフィールの整備 |
| 開業直前〜開業後 | 本公開、予約・問い合わせ導線の最終確認、お知らせやコラムの更新開始 |
注意したいのは、内装工事が終わらないと院内の写真が撮れない点です。工事完了の時期を見ながら、先にトップページや医師紹介、アクセスなどを仕上げ、院内写真は後から差し替える段取りにしておくと、公開が遅れにくくなります。

開業時に用意したい主なページ
最初からすべてを作り込む必要はありませんが、患者さんが受診を判断するために必要な情報は、開業時点でそろえておきたいところです。
- トップページ:診療科目、診療時間、アクセス、予約方法がひと目でわかる構成にします。
- 医師紹介:経歴、資格、専門分野、診療に対する考え方を掲載します。開業直後の信頼につながる重要なページです。
- 診療内容:内科なら生活習慣病や発熱、皮膚科ならアトピー性皮膚炎やニキビなど、対応する疾患・症状ごとにページを分けておくと、検索からの入口が増えます。
- 初診の方へ:持ち物、受付の流れ、予約の要否、駐車場や駐輪場の有無などをまとめます。
- アクセス・診療時間:地図、最寄り駅からの道順、休診日を掲載し、Googleビジネスプロフィールの情報と一致させます。
- 院内紹介・設備紹介:待合室の様子、バリアフリー対応、導入している検査機器などを紹介します。
- お知らせ:内覧会、休診日、予防接種の受付開始などを告知します。
小児科であれば予防接種や乳幼児健診の案内、整形外科であればリハビリテーションの体制、美容皮膚科などで自由診療を行う場合は料金表と施術ごとの説明ページなど、診療科の特性に応じたページも検討しましょう。スマートフォンで閲覧されることを前提に、電話ボタンや予約ボタンが押しやすい位置にあるかも確認しておくと安心です。
開業前から準備しておくこと
ドメインの取得
ドメイン(URL)は後から変更すると、検索エンジンからの評価の引き継ぎや印刷物の刷り直しなどで手間が生じます。医院名や地域名をもとに、覚えやすく長すぎないものを早めに取得し、名刺や診察券、看板の制作にも反映させます。ドメインやサーバーの契約者は、できるだけ医院側の名義にしておくと、将来制作会社を変える際にも困りません。
原稿の材料
制作会社に原稿作成を任せる場合でも、院長の経歴、診療方針、力を入れたい診療、対応していない診療などの情報は、院長からしか出てきません。開業準備の早い段階から、メモ程度でよいので書き出しておくと、制作がスムーズに進みます。
写真
医師やスタッフ、院内の写真は、素材写真よりも実際の写真のほうが医院の雰囲気が伝わります。撮影日は内装が完了し、什器や備品が搬入されたタイミングに設定するのがおすすめです。
Googleビジネスプロフィールと予約の仕組み
地図検索で表示されるGoogleビジネスプロフィールは、ホームページと並ぶ重要な接点です。開業予定日を設定できる機能もあるため、オーナー確認の手続きを含めて早めに準備しておきましょう。Web予約システムを導入する場合は、ホームページからの導線や予約枠の設定を、開業前に実際に操作してテストしておきます。

医療広告ガイドラインで気をつけること
2018年6月に施行された改正医療法により、クリニックのホームページも医療広告規制の対象となりました。開業時は「地域でいちばん」「最新の治療」など、つい強い言葉を使いたくなりますが、代表的な禁止事項として次のようなものがあります。
- 虚偽広告(事実と異なる内容)
- 比較優良広告(他院と比べて優れていると示すもの)
- 誇大広告(必要以上に誇張した表現)
- 患者の主観に基づく治療の体験談
- 詳細な説明のない治療前後の写真(ビフォーアフター)
- 公序良俗に反する内容
自由診療を掲載する場合は、治療内容、費用、主なリスクや副作用などの説明も必要です。表現に迷ったときは、厚生労働省の医療広告ガイドラインを確認したうえで、最終的には専門家や所管の自治体に相談することをおすすめします。
よくある質問
ホームページはいつ公開するのがよいですか?
決まった正解はありませんが、開業の1〜2か月前を目安に、開院準備中のページや内覧会の案内だけでも公開しておくと、医院名で検索した方に情報を届けやすくなります。本公開は、診療時間や予約方法などの情報を確定させたうえで、開業日に合わせて行います。
開業時はページ数が少なくても大丈夫ですか?
受診の判断に必要なページ(トップ、医師紹介、診療内容、初診の方へ、アクセス)がそろっていれば、まずは公開を優先して問題ありません。開業後に患者さんからよく受ける質問や、力を入れたい診療のページを少しずつ追加していく進め方も現実的です。
制作費用はどれくらいかかりますか?
ページ数、デザインの作り込み、原稿作成や写真撮影を依頼するかどうか、公開後の保守・更新の契約内容によって大きく変わります。金額だけで比べるのではなく、見積もりに何が含まれているか、公開後に院内で更新できる仕組みかを、依頼前に確認しておくことが大切です。
まとめ
開業時のホームページ制作は、開業日から逆算して半年ほど前から動き始めると、原稿や写真の準備に余裕を持てます。患者さんが受診を判断するために必要なページを優先してそろえ、ドメインやGoogleビジネスプロフィールなど、開業前から準備できることは早めに進めておきましょう。
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